葛は、葛根湯や葛湯など、風邪を引いたときや寒い日にカラダや腸を温めるものとして使われます。また、葛あんかけ、ごま豆腐などの和食や、涼しげなフォルムの葛まんじゅう、くずきりなどの和菓子にも欠かせません。
しかし日本人の和菓子離れや、葛の根からくず粉を作る行程はとても手間暇のかかるもので高価なために、消費も減少傾向にあるといいます。
そんな葛の素晴らしさやおいしさを伝えたいと、現役キャビンアテンダントである奥様と、元ホテルマンのご主人が、コロナを機に立ち上げた葛を使ったヴィーガンスイーツ専門店。週一日月曜日だけ代官山にオープンするテラス席のみの小さいカフェです。そのお店の魅力と葛についてのご紹介とともにお届けします。
葛について
マメ科のツル性植物の葛は、強い生命力で日本でも多摩川の河原などあちこちに自生していますが、葛粉にするのに適したおいしく品質のよい葛は、奈良県の吉野をはじめ山に自生するものに限られます。葛は葉が枯れ落ちる11月ころから寒い冬の間に地下から根っこを掘り出し、葛粉を作ります。
60㎏の葛の根から採れるでんぷんはわずか9㎏で、15%ほどしか採れない貴重なもの。
製造は時間がかかるため、冬の間の寒い期間でないと雑菌が繁殖してしまうそうです。
そして、繊細な葛は自然に沈殿させないと粒子が壊れてしまうため丁寧に手作業することが必要な、手間暇愛情の込められたものです。
【葛の製造方法】
山から掘り出した葛の根を細かい繊維状に砕く
水の中で何度も揉み、葛でんぷんを水に溶け出させ、その水を桶に溜めて1日置いて沈殿したでんぷんを集める。(この時点では灰色をしている)
未精製の葛でんぷんを沈殿槽に入れ、地下水を注いで攪拌する
不純物を網ですくい取り、更にふるいを通してきれいにする。
2日間そのまま置き、でんぷんを沈殿させて上澄みの水を捨てる
3~5の行程を10回程度繰り返し(吉野晒し)、純白の葛を作る。
沈殿槽の底に厚く溜まった葛を切り出す。
7の切り出した葛を小割りして屋内で2~3カ月かけて乾燥させる。
ちなみに葛は海外でも「KUDZU」と万国共通の呼び名で親しまれているグローバルな植物です。
日本のいいもの「葛」を使ったスイーツを
KUDZU SWEETS LALAは、国産100%の吉野の亀久堂の本葛粉を使ったヴィーガン・グルテンフリー・白砂糖不使用のギルトフリースイーツ専門店。
笹村夫妻が、日本のスーパーフードの葛の魅力を広めたいという思いで1年の開発期間を経て、絶妙の配合でつくりだしたなめらかな葛プリンたち。老若男女にすべての人に、そして地球にもやさしいスイーツです。
豆乳ベースで作る豆乳ベリーやみたらし、マンゴーココナッツ、アップルシナモンと、葛みかん、期間限定の沖縄の塩とトリュフ塩でいただくくず塩の6種がありました。
いただいた葛みかんは、フレッシュな果肉がたっぷり、クリーミーで驚きのなめらかさの豆乳ブランマンジェのような葛プリンとのコンビネーションが絶品でした。お客様の声から生まれたほんのり甘い豆乳の葛プリンに塩でアクセントをつけるくず塩は、より一層葛のおいしさが引き立つそうです。
6月から新たにメニューとして加わる葛アイスは、葛をいれることで溶けない・冷えないからだにやさしいアイス。キャンディのようにくるまれた一口サイズの葛アイスは、4種のフレーバーが楽しめ、罪悪感なくペロリと食べられます。小さなお子様や冷えを気にする女性にもうれしいアイスです。
これから通販の体制も整えていくそうですのでギフトにもいいかも。月曜日は代官山に!
ぜひ食べにいってみてくださいね。冷房対策や夏の滋養にも葛は一役かってくれるはずです。
最近では、葛と書かれながらも、さつまいものでんぷんの甘藷でんぷんや、じゃがいもでんぷん(片栗粉)が混ざっているものも多々あります。本葛粉においしさ・素晴らしさを見直し、常に家庭に常備して、皆さんも生活に取り入れてみてください。
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