米料理、それはシンプル!
春に移住した仙台は、言わずもがな屈指の米どころ。妻の実家も300年続く米農家で、家の前には息を呑むほど美しい田園風景が広がっています。
その風景は、脈々と受け継がれてきた農家さん達による、手間と時間の結晶です。日々の準備と手間はもちろん、朝早くから草刈りをし、毎日こまめに水路の開け閉めをし、機械や道具のメンテナンスに加え、梱包出荷、人によっては加工販売まで、やる事が本当に無数なんです…。
いつ寝ているのかと不思議になるくらい。それでも、農家さん達はみんないつも素敵な笑顔です。いただいたお米が美味しいと言うと、とても幸せそうにしてくれます。そんな様子を近くで見させてもらい、子供達と一緒に農作業もさせてもらい、前よりもずっとお米が美味しく有り難く感じるようになりました。さらに、近日大雨が続き、田んぼがたくさんの水を保水してくれているのを見た時、米仕事は食べる為のお米を育てると同時に、自然環境を維持する目的もあるという事を実感しました。
食材と農家さんに感謝し、食材を買い支える事は、僕たちの幸せな食卓と一緒に自然環境を守る事にも繋がる。そんな事を考えながら、今日も美味しくお米をいただいています。シンプルなツヤツヤご飯の炊き方は妻がピカイチに美味しいので、いつもお任せです。
僕がお米を調理する時は、もっぱらリゾットです。
イタリアで教わったリゾットは、コツが無数にありました。米は洗わない、オイルをまとわせる、水ではなくお湯を頻繁に少しずつ加える、沸いたら火を弱める、沸いてる途中は混ぜない、などなど。しかし実は、日本の炊き方を取り入れた方法が、よりシンプルで美味しい事がわかりました。
基本のリゾット
[材料(2名分)]
・米 150g(1カップ)
・オリーブオイル 大さじ2
・湯 約400g
・塩 小さじ1/4
フライパンに米とオリーブオイルを入れ、中火で加熱する。
オイルがさらりとして米全体にいきわたったら湯と塩を加え、フタをする。中火で加熱し、沸騰したら極弱火にし、約15分加熱する。
米が好みよりも少し硬い程度になったらフタを取り、水分の調整をする。多かったら煮詰め、少なければ湯を加える。
米が好みの硬さになり、フライパンをかたむけると米がとろりとゆっくり流れる程度の水分量になったら火を止め、よく混ぜて水分とオイルを乳化させる。塩で調味する。
簡単に書くと、米とオイルを炒める→水を加えてフタをする→混ぜて乳化させる。以上です。ものすごく、シンプル。僕が尊敬する広尾のレストラン「treis」の河島シェフとコラボイベントをした時、彼がこの作り方をしていました。
一口食べさせてもらい、びっくり!!今まで食べたリゾットの中で一番クリアで、米の味を楽しめました。シンプルで簡単で、美味しい。それ以来、リゾットはもっぱらこの作り方をしています。
味を変えたい時は、仕上げる少し前の段階でソースや具材を入れれば、無限にバリエーションを楽しめます。トマトソース、野菜の煮込みソース、ジェノベーゼ、黒胡椒、豆乳、味噌、醤油、スパイス等々。お好みで、和洋色々お試しください!
移住をして早4ヶ月。不便や不自由と思われがちな田舎暮らしは、驚くほど自由で満たされています。自然と共に暮らす人たちは知恵と技術を持ち、優しさとユーモアに溢れています。感動と勉強の日々です。移住をして良かったかどうかは、子供達の笑顔が物語ってくれています。地方移住、オススメです!
(文・写真:藤田 承紀)
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